年配の特に女性の場合、ちょっとした体調不良や精神的な不安定さの原因として「更年期障害」というものを上げられる事が多いと思います。
しかしそれって本当に更年期障害ですか?
今回は更年期障害と誤解しやすい「機能性低血糖症」というものについて説明したいと思います。
更年期障害とは
更年期障害とは、「更年期」と呼ばれる年齢に差し掛かることで性ホルモンが減少し、それによって精神的・肉体的な不具合が生じる事を包括した用語です。
更年期とは一般的には50歳前後の事を指すようですが、ホルモンバランスの変化は個人差も大きいので、もっと早い人もいれば遅い人もいるようです。
従来は女性特有のものと認識されていましたが、男性にも更年期障害はある事が最近では話題になる事が多くなりました。
女性の場合は閉経という大きな節目があるので、それを切欠に更年期障害が発生する場合があるのですが、男性の場合はこういった明確な節目はなく、加齢とともにホルモンバランスが変化することで徐々に更年期障害を発症するケースが多いようです。
更年期障害と呼ばれるものについてはすべての人が発症するわけではなく、ほぼ無縁の人もいれば強く症状が出る人もいます。
更年期障害の代表的な症状は以下のようなものが挙げられます。
- 顔の火照り
- 発汗
- 手足の冷え
- 動悸、息切れ
- 不眠
- いらいら
- 憂鬱
- 頭痛
- 疲労感
- 肩こり
これらはあくまでも一例であり、この他にも様々な身体的、あるいは精神的な不調が現れます。
機能性低血糖症とは
機能性低血糖症とは、食事による血糖値の上昇を起因として放出される血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンが多量に血中へ流れ込み過ぎる結果、正常値よりもさらに血糖値を下げ過ぎてしまう事で発生する低血糖症の事です。
一般的な低血糖症とは注射によってインスリンを注入しすぎた場合や薬の効きすぎによって生じますが、機能性低血糖症は自分の体内で起こる生理現象によって生じる低血糖である点が特徴となっています。
機能性低血糖症の症状は多岐に渡りますが、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 物忘れ
- 疲労感
- 眠気
- 集中力低下
- 動悸・息苦しさ
- 頭痛・めまい
- 鬱傾向
- 情緒不安定
- 筋肉痛
- 異常な空腹感
これ以外にも様々な精神的・肉体的な不調が発生する可能性があるのが機能性低血糖症というものです。
参考
『機能性低血糖症』とは?その症状や対策についてPFcメソッド
更年期に原因不明の体調不良=更年期障害と認定されやすい
更年期障害はホルモンバランスが加齢とともに変化する事で生じる心身の体調不良の事とされていますが、要するに「原因不明で体調が悪い更年期の人(50歳前後)は更年期障害だろう」といった判断をされやすいのです。
特に50歳前後の女性であれば、他にこれといって明確な原因が不明な体調不良が現れた時には高い割合で更年期障害の疑いが持たれるのが普通です。
最近では男性に関しても高齢になっていくほどホルモンバランス崩れて更年期障害を発症しやすくなるともいわれるようになりましたから、男性については更年期に該当しなくても更年期障害の疑いが持たれやすくなっている昨今のようです。
「更年期障害」ではなく実は「機能性低血糖症」である可能性もある
実は更年期障害と認定されている内の何割かは、実は機能性低血糖症ではないか?といった見解もあるようです。
両者に共通する特徴として、「原因がはっきりしない体調不良」というものがあります。
機能性低血糖症に関しては原因はインスリンの過剰分泌にある事は分かっているのですが、そういった事が実際に発生しているかどうかは血糖値を断続的に計測するような検査をしなければいけません。
ですから一般的に機能性低血糖症は発見されづらく、その結果として生じている体調不良に関して、他の原因を無理やり当てはめるような診断をされる事も少なくないようです。
しかもその人が更年期障害を発症しやすい年代の人(特に女性)であれば、多くの場合で実際には機能性低血糖症である人も更年期障害と診断されてしまうでしょう。
更年期障害だと思ったら「糖質制限」をしてみましょう
更年期障害によって発生してる体調不良であれば、不足しているホルモン(女性の場合は女性ホルモンであるエストロゲン、男性の場合は男性ホルモンであるテストステロン)を補充する事で症状が緩和されます。
しかしもし更年期障害ではなく、機能性低血糖症によって体調不良が生じている場合、ホルモンを補充しても症状は良くなりません。
更年期障害の治療をうけてみて良くならない場合はもちろんですが、そもそも更年期障害を疑うような体調不良が発生した場合、病院へ行くより前にまずは糖質制限を徹底してみましょう。
それで症状が良くなるとしたら、それは更年期障害ではなく機能性低血糖症である可能性が高いと言えます。
医学は意外と「いい加減」です
医学というと非常に綿密に人間の体について理解しているように思える人も多いかも知れませんが、実は医学というものは多くのものが仮説で成り立っています。
人間の体は未だ多くの部分がブラックボックスであり、どのような仕組みになっているのか正確には解明されていない部分が非常に多いのです。
ですから様々な体調不良がどういった原因で生じているかという事も、多くの場合で仮説によって説明されているに過ぎません。
ですから更年期障害のように症状が多岐に渡るものは、「更年期にさしかかった女性に多くみられて、女性ホルモンを補充すれば症状が緩和する=ホルモンバランスが崩れた結果として体調不良が発生するのだろう」といった仮説によって様々な症状がひとまとめに「更年期障害」と定義されています。
しかしこういった診断をする上で、その医師が機能性低血糖症というものを把握しているか否かで診断内容や対処方法に大きな違いが生じます。
機能性低血糖症というものは医者の間でも然程強く認識されていないケースも多いらしく、結果として別の疾患として診断される事も少なくないとの事。
つまり更年期の特に女性の場合、機能性低血糖症によって生じている体調不良である事を正しく診断されずに更年期障害として認識されてしまうリスクは決して少なくないのです。
何か体調不良が生じているといった場合、病院に行くよりも先にまずは糖質制限を実践する事、それだけでひょっとしたら医者いらずな生活が送れるかも知れませんよ?