フルーツ(果物)は野菜と並んで健康的な食べ物の象徴なんじゃないでしょうか?
朝食にフルーツ、昼食にフルーツ、間食にフルーツ…何となく健康的!と思った人も多い事でしょう。
ダイエット視点で見ても、そういったフルーツの活用は良さそうな気がするという人もやはり多い事でしょう。
しかしそれ、実は全くのデタラメなんです。
フルーツは体に良い?
端的に言ってしまえば、フルーツは多くの物が体に悪い食べ物です。
「フルーツが体に悪い?そんなバカな!」
そう感じる人は多いでしょうし、それは一般的な価値観だとも思います。
しかし多くのフルーツが持つ性質を正しく理解すれば、フルーツが間違ってもヘルシーな食品だなんて言えなくなります。
糖質過多食品という側面
フルーツの魅力とはなんでしょう?それぞれの種類によって様々な魅力があるのは大前提として、種類を問わずに断然支持される指標が存在します。
それは、「甘さ」です。
一部の例外を除いて、同じフルーツであれば基本的により甘いものが高い評価を得ます。
もちろんそれ以外の評価基準も存在しますが、最も分かりやすい評価基準が甘さ、糖度の高さである事は皆さんもご存知でしょう。
より甘いものを求められたフルーツは時代を経るごとにどんどん甘ぁ~く進化してきました。
その結果、現代に存在するフルーツというものは有史以前に存在したであろうソレとは似ても似つかないような別物になってしまっています。
今現在スーパーなどで手に入るフルーツというのはつまり、和菓子や洋菓子などと同列に扱うべき「スイーツ」なのです。
言い換えればそれは、大福やケーキと同列に扱うべき「糖質の塊」であるという事です。
例えばリンゴは100gあたり15g近い糖質を含んでおり、大きさにもよりますがおおよそ1つあたり30g近い糖質量を誇ります。
バナナに至っては糖質量が100gあたり20gを超えており、1本ぺろりと平らげるだけでそれぐらいの糖質を摂取してしまう事になります。
糖質制限をしている人なら分かると思いますが、一食あたりの糖質量目安を20g以下とするような食生活を目指している身としては、少し食べただけで一食分の糖質上限を満たしてしまいそうなフルーツの糖質量は脅威と言わざるを得ません。
血糖値をあまり上げない?
糖質制限中でもフルーツは安心して食べられるという誤解の原因となっているのは、フルーツは血糖値をそれほど上昇させないという特性によるものです。
人間が太るメカニズムの最たるものは、血糖値上昇から始まるインスリンによる生理反応(余分な糖質を脂肪として体に蓄積する)によるものです。
つまり、「血糖値さえ上げなければそう簡単には太らない」というのが糖質制限ダイエットの基本的な考え方となっています。
この特徴だけを見ると確かに、フルーツは糖質制限中でも安心して食べられる食品に見えるのも無理はありません。
実は自分も当初はそういった認識をもっていて、積極的にリンゴなどを摂取していました。
しかし残念ながら、それは大きな間違いだったのです。
結論から言えば、フルーツは血糖値の上昇にはそれほど関与しませんが、肥満には大きく関与しています。
果糖はダイレクトに肥満の原因となる
「血糖値はそれほど上げないのに肥満の原因となる」というのはどういった事かと言えば、果物に含まれる糖質の多くを占めるのは「果糖」というものなんですが、この果糖はブドウ糖と違って血糖値の上昇にはそれほど関与しません。
しかしこの「血糖値上昇→インスリン分泌→脂肪蓄積」というルートを辿らず、別ルートでダイレクトに中性脂肪を蓄積してしまうのです。
ブドウ糖がインスリン作用の結果として脂肪を蓄積するのに対して、果糖は肝臓で代謝された結果として多くの中性脂肪を生み出します。
言い換えれば果糖とは、「体脂肪を蓄積するための糖質」と言っても過言ではありません。
果糖はAGEsを蓄積させる
果糖の害は肥満だけに留まらず、体内ではAGEsという老化物質を蓄積させます。
AGEs(終末糖化産物)とは体内に付くサビのようなものであり、様々な老化現象を引き起こす原因物質です。
参考
『AGEs』とは?その作用と糖質制限の重要性PFcメソッド
糖質の摂取はこのAGEsを急速に増やしますが、実は果糖はブドウ糖の摂取と比較してもより多くのAGEsを生成してしまう特性があるのです。
つまり、「フルーツを多く摂取すればするほど老化が促進される」としても決して言い過ぎではないのです。
でもビタミンや食物繊維が取れるし…
フルーツの持つ負の側面を理解したとしても、「でもフルーツはビタミンが豊富で食物繊維もとれるから食べる価値はあるんじゃ?」との意見もあるかと思います。
フルーツにそういった側面があるのは事実ですし、少量の摂取であれば必ずしも「食べちゃ駄目!」とまで言うつもりはありません。
ただ、ビタミンや食物繊維を摂取できるという特徴を備えた、より健康的だと思われる食物が存在する事は皆さんもご存知でしょう。
そう、「野菜」です。
ビタミンや食物繊維を摂取する事を考えた場合、野菜で摂取したほうがフルーツで摂取するよりも糖質過多になるリスクが遥かに低いので建設的です。
言い換えれば、糖質過多になるリスクを冒してまでビタミンや食物繊維の為にフルーツを食べなければならない理由は、野菜を食べる事を前提とした場合には存在しないと言えます。
何らかの理由で野菜を食べられない事情がある場合にのみ、糖質量に気を付けつつビタミンや食物繊維の摂取目的でフルーツを食べる事は有益でしょうが、そうでなければフルーツは「ただ甘くて美味しいだけの趣向品」という事になりますね。
糖質の少ないフルーツ
フルーツとは一般的に「甘い果実」の事を指しますから、「糖質の少ないフルーツ」=「甘くないフルーツ」=「美味しくない」という事になりやすいので、その選択肢は驚くほど少ないんですよね…。
例外的なものとしては、アボカドが挙げられます。
アボカドは一応はフルーツの一種ですが、食べた事のある方ならお分かりでしょうが甘いフルーツではありませんよね。
食べ方としてもワサビ醤油を付けて食べる事が定番となっているぐらいですから、一般的な印象としてはむしろ野菜に近いのではないでしょうか?
こういった例外的なものは存在しますし、あとは基本的に甘いものほど糖質を多く含んでいますから、「全く甘くないリンゴ」と「蜜が入っているような甘いリンゴ」では前者の方が断然低糖質だと言えるでしょう。
しかしフルーツの価値とは「甘い果実」という点にあると言って良いものですから、甘くないフルーツをわざわざ食べるのか?といった話にもなるわけで。
そう考えて見ると、フルーツと糖質量というのは基本的には一蓮托生の関係にあるのだと思います。
糖質制限ダイエットの隠れた落とし穴=フルーツ
糖質制限ダイエットと言えば、「炭水化物を食べてはならない」という点が強調されますし、「砂糖が太る」という事もかなり周知されてきたように思います。
しかし一方で、いまだに「フルーツは血糖値をあげないから糖質制限ダイエット中にオススメ」だとか、「フルーツは低カロリーなものも多いのでダイエット向き食品」といった解説を見る機会も少なくありません。
事実自分もかつてはその点を誤解していた人間なので、やはりフルーツ=健康的といったイメージの刷り込みは強力なのだろうと実感しています。
しかし実際にはここまで説明してきたように、フルーツは健康的な食品とは言い難いものです。
その点を正しく理解して、せっかく頑張って糖質制限ダイエットを実践しているのに、いらぬ所で足を引っ張るような事とならないように注意して下さいね?