糖質制限ダイエットを実行する上で重要な事の一つとして、『糖質』をはじめとした用語を正しく理解する事が挙げられます。
糖質制限ダイエットは別の呼び方として『低炭水化物ダイエット』という言い回しがあるぐらいですから、糖質と炭水化物は同じもののように思えますよね。
しかしこの二つはイコールで結べるものではありません。
さらには特にお酒の表記で目にする事が多い『糖類オフ』という言葉。
糖類と糖質という一見似たような用語が混在している状況に、何が何やら…となっている人も少なくないでしょう。
実際自分も栄養学の専門家でも何でもありませんから、糖質制限ダイエットを実行する上で、色々と混乱した事を覚えています。
そこで今回は、『炭水化物』と『糖質』さらには『糖類』の違いについて説明して行きたいと思います。
炭水化物と糖質
炭水化物と糖質の関係を一言で表現するなら、「糖質は炭水化物の一部である」という事になります。
具体的に言えば、炭水化物とは「糖質と食物繊維の総称」なのです。

このように、炭水化物というカテゴリー内に糖質と食物繊維が存在しています。
糖質に着眼するなら、「糖質とは炭水化物の中で食物繊維以外のものを言う」といったようにも表現できます。
糖質と糖類
糖質と糖類の関係は、炭水化物と糖質の関係に似ています。
糖類とは、「糖質の中に含まれる単糖類と二糖類の総称」です。

このように、糖質の中に含まれる「単糖類」と「二糖類」をまとめた名称が「糖類」なのです。
単糖類とはブドウ糖や果糖などの事であり、二糖類とは砂糖(ショ糖)などの事です。
二糖類とは名前の通り二つの糖類が結びついたものを指しています。
例えば砂糖(厳密には主成分のショ糖)はブドウ糖と果糖が結びついたものです。
「砂糖(ショ糖)=ブドウ糖+果糖」と表現すると分かりやすいでしょうか。
ザックリと表現するなら、「一般的にイメージされる甘さ」に該当するのが「糖類」という事になりますね。
炭水化物【糖質(糖類)】
ここまでお読み頂いた方はお分かりの事と思いますが、要するに炭水化物の中に糖質が、糖質の中に糖類が含まれる(細分化されていく)という事ですね。

「炭水化物」中の食物繊維以外を「糖質」と呼び、「糖質」中の単糖類と二糖類を総称して「糖類」と呼んでいます。
もう少し名称的な分かりやすさというか、階層的な構造が明示されていれば良いのですが、色々とややこしいですよね。
結局のところ太るのはどの成分?
ここまでは「炭水化物」と「糖質」、そして「糖類」といった用語の関係性について説明してきました。
しかしここで最も重要なのは、それでは実際の所どの栄養素が太る原因になるのか…ですよね?
糖質制限ダイエットというぐらいだから糖質に分類されている成分は全て避けるべきなのか、しかしここにはキシリトールのような一般的には太らないとされている成分も含まれているので、少々分かりずらい。
食物繊維は太らない
まずは糖質以外の炭水化物、「食物繊維」についてですが、これは太りません。
ダイエットを実行する上でも積極的に摂取していきたい成分ですね。
食物繊維を取る事で腸内環境が整えられますし、胃に長くとどまる事で空腹感も抑えてくれます。
健康への良い影響という視点以外にも、無暗に食べ過ぎないという点でもダイエット中に積極的に摂取したい成分と言えますね。
糖類は太る
糖質の中でも特に単糖類と二糖類を指す「糖類」ですが、これに関しては明確に太る原因となります。
言うなれば非常にピュアなエネルギー源であり、だからこそ体内に過剰に摂取された際には体が脂肪に変換して蓄積しようとする最たる栄養素です。
糖質制限ダイエットを実行する上では絶対に意識するべき成分であると言えるでしょう。
ただし文献によっては、「ブドウ糖に比べて果糖は太りにくい」といった文言も多く、果糖が豊富に含まれているフルーツは食物繊維が豊富だから太りにくいといった話もあります。
厳密には、太るメカニズムを簡単に説明すると「血糖値が上がる→血糖値を下げようとする→その結果体に脂肪が蓄積する」といったものなのですが、血糖値というのはつまりブドウ糖の血液中濃度を表した数値なので、果糖はそこにあまり関与しないという事らしいのです。
血糖値が急激に上がると太りやすいと言われています。血糖値が上がるとインスリンが出て、糖を一生懸命下げようとします。そして脂肪細胞に貯金をしようとする、その結果太る原因になりやすいのです。砂糖に含まれるショ糖を摂取すると、血糖値が急激に上がって急激に下がるのですが、果糖は血糖値が上がりにくく下がりにくい。砂糖水を飲んだ場合と違って、ゆっくり吸収されるのでわりと腹持ちが良いという点でも、ダイエットに向いているかもしれません。
果物はダイエットの味方!太らないヒミツは”食物繊維”!|森永製菓(https://www.morinaga.co.jp/healthysnacking/columns/the_secret_of_fruits/)
血糖値が上がりにくい=血糖値の下げ幅を頑張らなくて良い=脂肪が貯まりにくい=ゆえにブドウ糖に比べて果糖は太りにくい…という理屈で「果糖が太りにくい」といった話となるようです。
しかしどうやらこの理屈は間違いのようで、果糖は血糖値には関与しないものの別ルートでダイレクトに中性脂肪となるらしく、ダイエットはもちろん健康を考えた場合にも摂取量には気を付けるべき成分であるとの事です。
果糖は体内で中性脂肪に変化して内蔵にくっつき、脂肪肝などを引き起こしやすくなります。その結果、血糖値を下げるインスリンの働きが弱くなってしまうのです。
糖質制限の真実|著:山田悟
こういった様々な言説が存在する事で専門家ではない我々一般消費者は混乱するのですが、自分の現状としての理解としては以下のようになります。
- ブドウ糖の多量摂取が太る代表的な要因
- 果糖は血糖値をあまり上昇させないが、別ルートで中性脂肪となる
- 糖類はどちらにしても太る要因
要するに、ブドウ糖であろうと果糖であろうと、太る原因の最たる所だということですね。
糖類以外の糖質はケースバイケース
食物繊維は太らず、糖類は太る。
ではそれ以外の炭水化物、糖類を除いた残りの糖質についてはどうでしょうか。
ここのカテゴリーに関して太る太らないという点で総括するなら、「モノによりけり」という事になります。
例えばキシリトールなどの糖アルコールに分類されるものは、血糖値の上昇が少なく(あるいは上昇しない)太りにくい甘味料として活用されています。
一方でデンプンは消化される事で血糖値を上昇させるので、ブドウ糖を直接摂取したようなケースほどダイレクトではないにしろ、結果的に血糖値の上昇から始まる太る行程を踏んで行くものです。
糖類に分類されるものと違い、ここに分類される糖質の一部は太る太らない、太りやすい太りにくいといった議論の対象となりやすく、糖質制限ダイエットを実行する上で困惑しがちな最たる部分ではないでしょうか。
自分のスタンスとしては以下のような認識です。
- デンプンを多く含む食品は量を減らす
- 糖アルコールやその他非糖類系甘味料は量に気を付けつつ活用
米や小麦などの穀物はデンプンを多分に含んでいますから、食べる際には量に気を付ける必要があります。
人工甘味料に関してはそもそもの安全性といった点で不安を持っている方も多いかも知れませんが、今の所明確な人体への悪影響は発見されていないようで、「大丈夫だと断言はできないが、明確に毒性が示されているわけではない」というのが現状でしょう。少なくとも砂糖を摂取するぐらいなら人工甘味料を用いた方がダイエット対策としては正しいというのが現在の認識です。
「炭水化物」と「糖質」と「糖類」のまとめ
- 「炭水化物」は大きく分けて「糖質」と「食物繊維」に分類される
- 「糖質」は大きく分けて「糖類」と「それ以外」に分類される
- 炭水化物の中でも糖類は太る要因となり、食物繊維は太る要因とならない
- 糖類以外の糖質に関してはものによって大きく異なる
先ほどもふれたように、太るメカニズムの開始点は血糖値の上昇にありますから、血糖値を上昇させやすい成分=太る成分であり、血糖値を上昇させにくい(させない)成分=太りにくい(太らない)成分とも言えます。
糖類が太りやすい、特にブドウ糖が血糖値を上昇させる最たる要因である事は明らかとなっているので、最も気を付けるべきはそこでしょうね。
とくに糖類を飲み物として摂取するようなケースは、急激に消化される事を考えると最も気を付けるべき点だと言うべきでしょう。